人と働くということ③

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abomi344.hatenablog.com

間があいてしまいましたが、前回からの続きです。

そして平成最後の夏、更なる爆弾が投下される。


新キャラFさん


Yさんの次に入社してきたFさんが、これまた大変なお人でした。

半年ほど一緒に仕事をしたけど、彼女は本当に仕事が全然覚えられないようだった。


覚えが悪い人だなあ・・とは薄々思っていたのだが、毎日真面目に出勤してくるし、一生懸命メモを取ったりマニュアルを読んだりして覚えようとしている努力が見える人だったので、最初の1~2ヶ月は大目に見ていた。

ところがFさんは仕事を始めて3ヶ月ほど経った頃に、仕事上で大きな事故を起こした。

それが入社してすぐに受ける研修でしつこいほど「ここだけはミスしてくれるな」と脅され、うっかりでは済まされないような内容のものだったので社内が一時騒然とした。


Fさんについて何だかおかしいな?と思い始めたのは、彼女が犯したミスについて上司が始末書を書いたり、取引先に謝罪に行ったりしてバタバタしているのをすぐ側で見ているはずなのに、平然とした顔をして今まで通り働いている様子を見た時だった。

普通なら、もっと責任を感じて気まずそうにするよな・・・と。


募る不信感


周囲の同僚達も同じ事を感じていたようで、Fさんに対する不信感は短期間で爆上がりした。

事故処理が一段落すると、今回のようなミスが再び起こることがないようにするため、上司が「仕事のシステムに不備や分かりづらいことがあってヒューマンエラーが起きやすいのではないか?」ということ前提で、Fさんと同じ仕事をしている私たちに「何か問題点を感じるか?」と質問してきた。

そこで同僚のうちの1人が、「システムの問題ではなく個人(Fさん)の問題だ」とはっきり告げたことで、ようやく上司も彼女の普段の仕事ぶりがわかったようだった。


私は、おそらくFさんは軽度の発達障害なのではないか・・と思った。

勝手に決めつけて良いことではないけれど、やはり総合するとFさん本人の怠慢から来る問題でもないと思うし、単純な出来の悪さとしても片付けられないレベルだったので、そうすると何らかの病気か障害なんじゃないかと結論づけるしかなかった。

そう思った理由として具体的な例を挙げると、

◎まったく融通が利かない
◎極端に空気が読めない(状況判断ができない)

という2点だ。

+ まったく融通が利かない

Fさんはマニュアリストで、ものすごいマニュアルを読み込んでいるのだが結局それほど内容を記憶しているわけではないし、逆に記憶していることについてはそのやり方を絶対に曲げられず、臨機応変に対応することが全く出来なかった。

私たちの仕事には接客的なものも含まれていて、人によって対応の仕方を変える必要が出てくる場面もあるのだが、ルールに縛られているFさんにはそれも出来ない。

また、便宜上決まっているルール通りではなく、より効率的にできる方法で仕事をしている同僚に対して、

「それは間違っている」

と言ってしまうのだ。

私たちはFさんからそう言われるので「これについては必ずしもマニュアル通りじゃなくても構わない」ということを説明する。

初めのうちは右も左もわからないのだから仕方ないと思っていたけど、しばらくするとそんなこと自分で考えて決めればいいじゃない?何故そんなこともわからないの?という常識以下のレベルの細かいことまで尋ねられるので辟易してくるのだ。

+ 極端に空気が読めない

“ルール通りにやらなくて良い”という説明の意味が飲み込めないFさんは、再び同じ質問を他の同僚にする。

しかもそれをさっき質問した同僚の前でやってしまうので、先に聞かれた側はもちろん気分が悪い。

空気が読める人だったら、さっき質問した人の前で同じ質問を別の人にするのは角が立つことだとわかると思うのだが、Fさんの頭の中は自分には理解できない指示で混乱してしまっていてそんな配慮はできないようだった。


他にも、同僚がクレーム電話を受けている時にFさんはじっと自席に座ってその電話に聞き耳を立てているということがあった。

そして彼女は、電話を終えた直後に対応していた同僚に半笑いで話しかけた(クレーマーに対する揶揄のような内容だった)。

普通はクレームを受けている同僚がいたら手助けするか、それが出来ない状況ならあまりじろじろ見ないようにすると思うのだが、Fさんは自分がされて嫌な気分になることをしないようにする、という配慮もできないようだった。


Fさん退職までの出来事


これと似たようなことがいくつも起こり、同じ立場で一緒に働いている私たちは彼女の存在にだんだん疲弊していった。

Fさんが普通の人とはちょっと違うということがわかると、上司としてもまた同じ事故を起こされるわけにもいかないので、結局彼女に大半の業務をやらせなくなった。

つまり、干されたのだ。

それ以後、仕事がないFさんは自席でボーーっとしている時間が格段に増えた。

本人はそれでも置かれている状況を飲み込めていないらしく、毎日平然と出社してくるし、辛そうな様子も反省している様子も見せない。

普通の感覚だったら干された時点で「もうここにはいられない」と感じると思うのだが、話をした同僚には「頑張りたい」と言っていたそうだ(でも自分ができる範囲の仕事を探そうとする様子もない)。


もう皆、Fさんには何か病気か障害があるのだろう、と気付いてはいたけれどあまりに普通の感覚とはかけ離れているし、そういう人と働いたことがある人もいなかった。

同僚としては、同じ立場で入社してきて同じ給料で働いているはずなのに、毎日Fさんの面倒を見させられ、フォローに明け暮れる日々が続くともちろん不満も募ってくる。

結果、周囲の人たちから冷たく当たられるようになったFさんはどんどん萎縮していった。

そして小さなミスを繰り返し、また冷たくあたられる、という日々。

こうなってしまうと早い段階で自主退職を申し出ると思うのだが、そんな様子もなかったので上司が面談を行い、産業医検診を受けさせ(鬱病っぽいと診断されたらしい)、産業医からはきちんと病院にかかるようにと言われたそうなのだが、結局Fさんは病院にも行かなかったようだ。

この辺りは私も詳しくないので何とも言えないのだけど、産業医の指示を守らないというのは、会社からの指示を無視しているということになるのだろうか?

会社側からすると、Fさんが病院に行かなかったことが自主退職を促す大義名分を得たことに繋がったようで、なんとか自分から辞めていただくことができた・・・というのがここ半年の出来事でした。


同僚としてどうすれば良いか分からなかった

先のYさんに関しては私は同情の余地なしと切り捨てたい気分なんですけど、Fさんに関しては本人が真面目なだけにどうすれば良いのか本当にわからなかった。

もちろんそれを判断して対処するのも上司の仕事なんだけど、上の人たちもこういう人への対応をおそらくしたことがなく、結局半年間もかかってしまったのだ。


その間、私たちもしんどかったし、きっとFさん自身も辛かったと思う。

彼女は本当に自分の何が悪いのか理解できていないようだったから。


Fさんは、今まで病院にかかったことがなかったのだろうか?

彼女は私よりもずっと年上(30代後半~40代)だと思うので、きっとこれまでの人生でもいろいろな生きづらさを感じながら生きてきたはずなんだけど。

本人が気付かなくても家族が気付かないはずがないので、もしかすると当の家族が病院に行かせなかったのかもしれないな・・・とか余計な憶測ばかり頭の中を駆け巡っていく。

どうしても働かなくてはならないのなら病院にかかって福祉的な援助も受けてふさわしい仕事ができるようにするべきだ思うのだけど、Fさんは見た目には全く問題がないように思えるので(私たちも1ヶ月くらいは気付かなかった)家族が病人・障害者扱いしたくないと思ってしまう気持ちも分かる気がする。

でも、一番しんどいのは本人なのにね。


・・・って私もこんな良い人ぶったことを言ってはいるけれど、障害者として別枠で雇用されている訳でもなく、同じ立場で雇用されているFさんがずっと仕事を覚えられないままで彼女のフォローをするために周囲の人間ばかりがアタフタと動き回らなければならない環境には大いに不満を抱いていた。

その間、彼女は1日中ボーッと自席に座って過ごして同じお給料を貰えるのだから。

だから私は、Fさんを別枠に移すことができないのなら解雇すべきだと本気で思っていた。

そして実際にそうなった(自主退職というかたちだったけど)。


私は別に彼女自身が嫌いというわけではなかった(同僚の中には大嫌いだと言う人もいたけど)。

もしそれが障害だったなら、それは彼女自身の責任ではないわけだし。

会社としてもどうしようもなくて、自分から辞めてくれるようにずっと促し続けてやっと本人もそれに気付いてくれた、というような流れだったけれども・・・。

ホッとする反面、どうしても後味の悪さが残った。

なんとかならなかったのかな、と今でもぐるぐると考え続けてしまうのだ。


以上、人と働くのって難しいな・・・と改めて思った出来事たちでした。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。